特集 介護予防―3年間の検証から
介護予防の評価―医療経済学・政策学の視点から
濃沼 信夫
1
1東北大学大学院医学系研究科
pp.286-289
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101537
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試金石の経済評価
目前の2009年度介護報酬改定では3.0%の引き上げが行われることになっているが,介護の財政問題は深刻化している.介護費用,介護給付費の大幅な増加は制度設計時の大方の予想を上回るものであり,また最近では,認知症高齢者や高齢者単独世帯の増加,ケアニーズの個別化・多様化,介護従事者の不足など,より多くの財源が必要となる新たな事態が生じつつある.
さらに,昨今の世界的な金融危機と急速な経済悪化によっても,介護を包含する社会保障財源は危険水域にまで逼迫する恐れがある.介護保険料支払い年齢(40歳)の引き下げや,消費税(3%)の引き上げなど,国民に負担増を強いる新たな財源の確保が容易でない以上,介護サービスの低下を招かないためには,制度の効率的な運用が不可欠である.
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