特集 インフルエンザ
インフルエンザを巡る最近の話題
④ 医療経済学的観点からのインフルエンザの予防と治療
大日 康史
1
1国立感染症研究所感染症情報センター
pp.772-774
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100657
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具体的な検討に入る前に,まずインフルエンザ流行のインパクトを確認しておこう.図1は,2004/2005シーズンまでの外来受診者数と超過死亡数をまとめたものである.ここで超過死亡とはインフルエンザが流行していなければ生じていなかったであろう死亡数のことで,インフルエンザ流行と関連した死亡と考えられている.外来患者数(左目盛り)は,1,000万人前後であり,2004/2005シーズンには1,770万人にも達した.超過死亡(右目盛り)はほぼ0の年も散見されるが,最大は1998/1999年シーズンで,4万人に迫る超過死亡を観測した.以下では,特に断りのない限り,近年では大きな流行であった2004/2005シーズンにおける外来患者数と超過死亡数を用いて検討することとする.
本稿では,インフルエンザに対する2つの基本的な対応である予防と治療について,特にその費用対効果の側面から比較する.特にここでは,予防はインフルエンザワクチンの予防接種,治療としては現代においては標準的な治療であるタミフルの内服(1日2カプセル,5日間処方)を比較することとする.
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