視点
あいりん地域における健康支援活動
井戸 武實
pp.244-245
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101538
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私は40年間,大阪府庁や保健所において診療放射線技師として,保健行政に携わってきた.現在はあいりん地域にてNPOの事務局長兼職員として勤務し,結核対策を中心とした健康支援活動に関わって2年が過ぎようとしている.あいりん地域は「釜ヶ崎」とも呼ばれ,大阪市西成区のJR環状線新今宮駅南側に位置する僅か0.62km2の地域である.日本の高度経済成長時代からこの地域は日本一の日雇い労働者市場であり,日本中から労働者が集まって来ている.平成17年の国勢調査によると,あいりん地域の人口は約3万人で,ほとんどが単身世帯であり,男性が82.7%を占めている.
大阪府の保健所勤務中は衣食住が確保されている人々が主な対象であったが,あいりん地域では全く違う.日雇労働者の人々は不況と高齢化に伴い失業状態でホームレスとなり医療や福祉などの援護が必要となっている.2007年のホームレスの実態に関する全国調査報告書(厚生労働省)によると,ホームレス者数は全国18,564人,大阪市には約22%にあたる4,069人が生活している.警察によると,約1,200人のホームレス者があいりん地域で生活している.
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