特集 介護予防―3年間の検証から
認知機能に着目した介護予防プログラムの開発とその評価
田髙 悦子
1
1横浜市立大学医学部看護学科地域看護学領域
pp.281-285
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101536
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高齢者の認知機能は,身体的,心理的,社会的機能に深く関連し,その低下は生活機能全体の低下を招くことが知られている.他方,高齢者の認知機能の低下は,必ずしも加齢による不可逆性のものではなく,機能の不活用1)や対人交流の不活発さ2)などが加味した,いわば,心身の生活習慣病3)とも指摘されている.
Laurin4)は,歩行などの軽度の身体活動と認知機能の維持との関連を明らかにし,Yoshitake5)は,有酸素運動の習慣と認知症発症リスクとの関連を明らかにしている.またWilsonは,認知機能を使用する活動6)や日頃の意図的なエピソード記憶の回想7)がアルツハイマー病の発症リスクを低減することを示し,Verghese8)は,pleasureを伴う余暇活動や対人交流が認知機能低下の予防に資することを示唆している.すなわち高齢者の認知機能に生活のありようや生活習慣が関与していることは,もはや明白であり,焦眉の課題は,高齢者の認知機能に着目してその活性を図り,生活習慣に定着し得るような活動へ高めるための有効な介護予防プログラムの開発である.
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