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あとがき
高鳥毛 敏雄
pp.242
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101528
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本特集内冒頭にあります尾身先生との対談に入る前に,「公衆衛生と専門性」について大激論となりました.公衆衛生人の社会的使命はすべての人々の健康医療問題を解決をすることにあり,公衆衛生は実学であり,それを顧みずに専門性の議論をするのは不見識であるとの思いを強くもたれておられたからであります.大学人が中心となって公衆衛生の専門性の議論をしていくことにも強い懸念を持たれておられました.尾身先生のお考えは,WHO西太平洋地域事務局で,ポリオの根絶,SARS対策など複雑な政治経済状況の地域における公衆衛生対策の責任者として長年陣頭指揮をとってこられた実践活動の中で獲得されてきたことに基づくものであり,説得力のあるお言葉でした.WHOでの大任を終えられ年初に帰国されていると聞いています.まだWHO在籍中の最後の時期(2008年10月)に対談を組ませていただきました.大激論となりました点については,本特集の企画立案にあたって編集委員の間でも熱の込もった議論となりました.その結果「公衆衛生の人づくり」について前号と今号,2つの号にまたがる特集とさせていただいた次第です.本特集の趣旨が尾身先生のお考えと齟齬があるわけではないことをご理解いただきますようお願いいたします.
ところで,人々の抱えている問題と真摯に付き合うのが自治体の使命ではないでしょうか.自治体の中で,行政職の下で仕事をする公衆衛生人も多くなってきています.行政職の方もわれわれ公衆衛生人に仲間入りしていただくべき時代となっているように思います.
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