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あとがき
高鳥毛 敏雄
pp.682
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101392
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わが国には明治期から明確な医療政策は存在しないという指摘があります.近年訪問機会の多い英国に滞在して感じさせられるのは,この国では医療問題は常に政治問題,国の政策の課題であり,国民にとっても,政治家にとっても,大切な問題とされているということであります.現場の一般医,保健師,地域看護師などの専門職の位置づけが明確になされており,その専門職は地域の人々のニーズに応じた活動をすることが求められています.
本誌において尾身茂氏は「日本の医療政策は政策プロセスにおいて必ずしも広範な国民的合意形成過程を経てこなかった」と述べておられます.これが本当であるとすれば,ここにわが国の医療の行き詰まりの原因があるように思えました.また後藤良一氏に北海道の医師偏在の厳しい現実をご報告いただきました.田上豊資氏からは高知県の現知事が選挙戦の中に地域医療の厳しい現実を目にした経験から,地域に根ざした医療計画の策定を公約としているとのご報告をいただきました.
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