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あとがき
高鳥毛 敏雄
pp.72
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208110
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わが国の市町村が保健所を設置し,公衆衛生の主体となったのは政令指定都市誕生の1956年とすると60年,中核市誕生の1995年からとすると20年となります.イギリスの公衆衛生は,当初から自治体の仕事として発足し,1875年の公衆衛生法からすると140年となります.本号は,わが国の公衆衛生体制の中心に位置づけられている市町村,中でも中核市に焦点をあてて企画しました.
わが国とイギリスは逆方向に向かっているようにみえます.イギリスは伝統的な自治体を基盤とした公衆衛生体制を再確認し,自治体に特別補助金を交付し,自治体の公衆衛生リーダーに強い専門性を求め,法的位置づけを与える制度改革を進めています.他方で,全国的な専門性の高い公衆衛生組織の整備を進めています.グローバル感染症,健康危機管理体制など,自治体だけでは担えない公衆衛生問題が多くなってきたからです.わが国のかつての保健所法体制を思い描くと理解しやすい体制としてきています.
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