特集 日本の食を守れるか?
食品安全行政と必要な専門知識
山田 友紀子
1
1農林水産省消費安全局
pp.861-864
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101434
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2000年9月10日に千葉県で国内初のBSE罹患牛が発見されて以来,わが国における食品の安全性に対する関心は高い.それ以降,食品について偽装表示その他の欺瞞的な行動が見られ,それらの行為の結果として倒産した会社があるにもかかわらず,同様の詐欺的な行為が繰り返されている.そのせいか,最近では,「偽装表示は食品の安全性を損なう」等の報道がなされ,あたかも食品表示が食品安全の最重要因子であるかのごとき現象になっている.このようなことは,少なくとも先進国ではわが国だけに見られるものである.また,中国産冷凍餃子に起因する有機リン系農薬中毒問題において,自らの専門分野以外のことについて誤った情報を発信する大学教員や学者がおり,混乱に輪をかけた.
さらに,最近農林水産省(農水省)でも事実確認や安全性の確認が不十分なまま記者会見を行い,社会の混乱および不安を引き起こしたことは,同じ省に勤務する者として申し訳なく,かつ恥しく思っている.
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