インタビュー PT・OTの世界
「PTの知識を福祉行政に反映させる」
山崎 國治
1
1東京都世田谷区福祉保健
pp.124-125
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103511
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<山崎さんは,世田谷区の課長職という激務をなさりながらPTの免許を取得され今は部長職と伺いましたが,仕事上の必要から取得されたのですか>
山崎 昭和48年,世田谷区砧福祉事務所の身体障害者福祉司に任命され,私の福祉行政へのかかわりの第一歩はここから始まりました.任命直後,65歳の寝たきり老人を抱えた家族から,家庭奉仕員派遣の申請があり,調査のためその家庭を訪問しました.その老人は,1年前に脳梗塞で倒れ,左片麻痺,座位は辛うじて保てるものの寝たきりの状態でした.病院に入院中(6カ月)に下肢装具をつけ,屋外での杖歩行ができるまで訓練をしたと家族の方が申されるのですが,装具や杖は,使用されないまま押し入れの中に新品同様で眠っているのです.地域で継続的にみていく受け皿がないため,病院での治療やリハビリ訓練の効果が,退院と共に消滅している現実を目の当たりにして大きなショックを受けました.何とかせねばと,東京都心身障害者福祉センターを訪ね,PTの方に訪問指導をしてもらえまいかとお願いし,2~3回来て頂きましたが,センターの仕事も忙しいですから,そう無理もお願いできず,十分なこともできぬまま2年後,その老人は亡くなりました.
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