特集 高度化された食品・栄養システムの現状と課題
製造物責任法と食品行政—農林水産省
小森 栄作
1
1農林水産省食品流通局消費経済課
pp.752-755
発行日 1995年11月15日
Published Date 1995/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901369
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製造物責任法
消費者が欠陥のある製品によって被害を受けた場合,製造業者に対して損害賠償を求める時は民法709条の不法行為責任により求めることになります.しかしながら,この不法行為責任による損害賠償を求めるためには,消費者は製造業者の過失という主観的要件を証明しなければならず,高度な工業化社会では立証が非常に困難となります.このため,消費者の立証負担を軽減する観点から製品の欠陥という客観的要件が立証できれば,製造業者が無過失であっても責任を負うこととするのが製造物責任法です.すなわち,過失という主観的要件に基づく損害賠償責任を,欠陥という客観的要件に基づく損害賠償責任に変えることです.
また,製造物責任法によって,損害賠償を求めることのできる損害は,いわゆる拡大損害といわれるものであり,人の生命,身体または財産に係る被害であり,単なる商品の瑕疵(食品がおいしくない,食品の色がおかしい,袋が破れているなど)は対象となりません.
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