連載 地域における自殺対策の新展開―自殺は予防できる・7
精神科医と内科医のネットワーク構築
石蔵 文信
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1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻医療技術科学分野機能診断科学講座
pp.818-821
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101425
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この原稿の執筆中に昨年度の自殺者数が発表された.自殺対策が進んでいる秋田県や岩手県では自殺者が減少したものの,大都市圏では軒並み自殺者が増加しており,特に大阪府の増加は昨年比15.2%であった.自殺対策が一朝一夕で進まないことはわかっているつもりであるが,この数字を見ると私自身も暗い気持ちになる.また,われわれの行っている活動が本当に意味のあることなのだろうかと少々自信を失いかけている.社会や企業に効率や結果主義を求めることが勤労者を追い詰め,自殺者が増えるのではないかと主張しているわれわれも,やはり結果が出ないとかなり落ち込む.それでも,周囲の人は何かしなければはじまらないと励ましてくれるし,小さな活動の割には全国的な注目度も高い.私自身はこの活動を通じてたくさんの良き,そして異分野の知り合い,友人ができたので満足はしている.せめて,この満足感の続くうちはもう少しこの活動を続けてみようと思っている.
本稿では自殺を予防できる方策というより,現在の問題点とそれを解決するための活動はどうあるべきかについて述べていきたい.
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