連載 PHNに会いたい・13
―九州看護福祉大学―保健師教育の現状と課題
荘田 智彦
,
久佐賀 眞理
1
,
井 美代子
2
,
堀内 香代子
3
,
福本 久美子
1
1九州看護福祉大学看護福祉学部看護学科
2産山村役場住民課
3山鹿保健所保健予防課
pp.822-829
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101426
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この春先,福岡県のさる看護大学の保健師養成教育に携わる先生からこんなお手紙をもらいました.〈…専門職は,土台となる教育が貧弱だと提供できるサービスも貧弱になります.看護系大学の急増は,「公衆衛生」を学ばない保健師を養成し世に送り出す仕組みを作ることになりました(以前は看護学校卒業後,1年間保健師養成所で学んで保健師になる教育がほとんどでした).(中略)―4年制大学の地域看護担当教員の多くは,保健師の専門職教育をしたいと思ってもやれない仕組みの中で「教育の仕方が悪いからだ」と批判されています.公衆衛生看護の実務経験をもたない教員も多く,地域看護担当教員の中でもどのような教育が望ましいか意見が一致していません.大学の中では保健師教育の問題を口に出すことすら封じられた状況で,教員自身が,何が問題なのかわからなくなっていました.近年,ようやく自ら声を出し始めたところです.…〉
併せて,彼女の参加する九州ブロックの『平成18年度保健師教育検討委員会報告書“保健師教育の現状と課題”』という冊子を読ませてもらいました.正直,保健師養成の教育現場の課題の多さと困難に驚きました.報告書は看護教育全体の流れに埋没してしまいそうな中で,保健師教育をどう守り発展させたらいいか,教師間の内部検討資料だと思いますが,私たち社会の側でもこれから先「保健師」をどうしたいか,どんな専門性を求めるか,今こそそうした議論やコンセンサスの形成が必要なことを教えてくれています.
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