特集 健康危機における情報ネットワーク
地域情報ネットワーク構築の試み
甲斐 充
1,2
1前・岡山市保健福祉局保健部生活衛生課
2現・岡山市環境局環境保全部産業廃棄物対策課
pp.519-522
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100904
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「健康危機管理」が叫ばれ,国においては各種の体制作りが行われており,自治体にもそのシステム作りが求められてきた.私自身その業務に関与してきたが,自治体の健康危機管理体制は日常業務の執行体制の上に築かれた未成熟なものであり,制度,組織を超えた本来の危機管理とは,機能の面でずれが生じていると思っている.
未だに健康危機管理発生時に,「自治体の保健部門がなすべきことは何か」ということが問題視されていること自体,危機管理体制が不十分であることを示しているのではないか.厚生労働省主催の危機管理研修においても,「自治体(保健所)に求めるものは何か」という自治体参加者からの問いに,「情報を中央へ届けて欲しい」との希望が講師から出されたに過ぎない.これは,“地域のことは自治体で”という地方分権の流れを汲んだものであると思われるが,自治体として「何をすべきか」ということに対する共通認識がないまま指針等が作成されたため,自治体(保健所)内でのスタッフの認識に差が生じているのではないだろうか.
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