連載 エイズ対策を評価する・18
外国人のHIV/AIDS(下)
沢田 貴志
1
,
岩室 紳也
2
,
岩木 エリーザ
3
,
稲垣 智一
4
,
内野 ナンティヤー
5
,
上野 泰弘
4
1港町診療所
2(社)地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
3特活CRIATIVOS-HIV/STD関連支援センター
4東京都福祉保健局健康安全室感染症対策課
5TAWAN(日本に住むタイ人へ健康面の支援を行うグループ)
pp.504-509
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101088
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メッセージが伝わらない理由
沢田 ブラジル人の場合,言葉の問題だけではなくて,労働環境の問題も大きいとエリーザさんがよく指摘されていますね.人材派遣で今日はこちらの仕事,明日はあちらの仕事という感じでどんどん動かされて,コミュニティやブラジルの情報から切り離されてしまう.こうした環境のため,そもそも医療にアクセスが悪いし,日本でのエイズ啓発が文化の違いで入りにくい.ブラジル人にはダイレクトに言わないとわからないので,日本のエイズのキャンペーンを見ていて「日本ではエイズはないんだ」と思ってしまう.
岩室 具体的にどのあたりが?
エリーザ 日本のエイズストップのポスターを見ても何も感じないのです.ブラジル人は漫画チックなのはまずダメです.例えばコンドームに目や鼻がついていたりはダメで,ダイレクトにコンドームそのものを見せるとか,ラブシーンの中でコンドームを入れるとかしないと,情報として取り入れられない.カップル,ゲイのカップルでもいいのですが,本当のラブシーンの中でコンドームの本物を見せたりすれば,ブラジル人は「ああ」と受け入れますので,その辺が違っていますね.
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