特集 公衆衛生とプライマリ・ケア
公衆衛生の担い手としてのプライマリ・ケア医
鈴木 荘一
1,2
1日本プライマリ・ケア学会
2鈴木内科医院
pp.579-582
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100920
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人間の痛みや苦しみを治したり和らげる技術,つまり医療は,古今東西を問わず地球上の人間の歴史とともにあった.当初は,一般人の中から,祈祷や呪いのような“癒し人”が選ばれていたが,19世紀より科学的な医学が誕生し,“医師”という科学的な専門職が社会的に認知されてきた.だが,その医師もジェンナーの種痘成功に学び,医療の中に,予防接種や公衆衛生の活動が,個人のみならず社会の健康を守るために必要であることを認識し,各国とも保健公衆衛生活動に力を入れ,その結果,保健専門職が生まれてきた.しかしながら,住民が健康問題を懐くと,最初に接するのは,近接性と継続性に富む,地域・家庭医機能のプライマリ・ケア医である.
プライマリ・ケアの思想は,1920年代初頭の英国ドーソン報告に源があると言われるが,WHO(世界保健機関)が世界に大きく「2000年までに世界中すべての人に健康を!」をスローガンに開催された旧ソ連アルマ・アタ宣言は,記憶に残る公衆衛生活動の発展であった1).
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