視点
保健所における医師づくり―百年河清を挨つ
大井田 隆
1
1日本大学医学部公衆衛生学教室
pp.408-409
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100885
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最近,多くの保健所が福祉事務所と統合して保健福祉事務所(名称はそれぞれの都道府県による)といった県庁や市役所(地域保健法政令市)の出先機関として機能している.しかしその実態は,小さな福祉事務所が保健所の中に入り込むことによって「統合」と称しているに過ぎず,保健福祉事務所の中に法律上必置義務のある保健所と福祉事務所が入っており,二重,三重行政が行われているのである.多くの保健所長が,行政がやりにくくなったことを訴えている.
また,保健福祉事務所のトップには地域保健法政令第4条の規定「保健所長は医師である」という条項とは違って,他職種(特に事務職)の場合が多い.知人の保健所長がこのような状態を指して「人事権が自分になくなってしまったので,食中毒のような緊急事態になっても事務職は知らん顔,一緒にやってくれるのは保健師など限られた人だけ」と嘆いていた.この話を聞いて,保健所長という行政機関の長から,マネジメント機能が奪われてしまった,と思った.
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