特集 現代の保健所論・2
「子ども虐待予防活動」を通した市町村支援の1例について
井口 ちよ
1
1東京都南多摩保健所
pp.439-442
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100884
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戦後,日本の公衆衛生の第一線機関として活動してきた保健所の存在をめぐり,今,多くの議論がある.急速な社会の変化は,保健所のあり方を大きく問い直しているが,この時代に築き上げた保健所の功績は,今でも十分評価されるものである.代表的なものをいくつか挙げてみると,保健所が地域の公衆衛生の現場を受け持つ意義が明らかになると考える.
第一には,全国に張り巡らされた保健衛生行政のシステムがある.一地方で起きた食中毒の事件が,食材の流通調査や患者調査の中から,全国規模の事件を浮かび上がらせることがある.これは全国の保健所間のレベルやシステムがほぼ同じであり,保健所職員同士の信頼感が背景にあってこそ可能になることである.結核予防法に基づく,定期外検診システムなども同様に,感染が推定される者の全国調査が可能であり,他の感染症発症時にも,十分生かすことのできるシステムとなっている.
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