特集 大阪の公衆衛生活動
活動報告—どのように仕事にとりくんでいるか
Ⅳ.医師会と保健所
医師会と保健所
中山 信正
1
1大阪市食品衛生課
pp.436-437
発行日 1958年8月15日
Published Date 1958/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202003
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郡市区医師会と保健所の関係は比較的良好な関係にあつた。公立病院の新設,増築には極めて強い反応を示される医師会も保健所となると,其の設備の改善,人員の拡充に寧ろ積極的な援助を惜しまない。保健所法そのものが地区医師会の中心機関ともなり,医師会に対してもサービス機関ともなるべきことを想定して保健所を規定している点にも理由はあろうし,医師として行政面へ進出した唯一の代表者である保健所長を何とかもり立ててやろうと言う意識も底流しているに違いない。とにかく,医師会と保健所が真正面から衝突したと言う例は寡聞にして余り聞かない所である。然しながら本当に医師会と保健所が機能的に唇歯輔車の実を挙げているであろうか。腹の底から協力して行こうと言う意識が両者の間にあつたであろうか。残念ながら私は寂寥を感ずるものの一人である。大多数の医師は今尚ロマンチストである。或はロマンの残党と言つた方がよいかも知れない。公衆衛生と言う様な大義名分を振り廻されたら,これに対して非協力的な態度を示すことはロマンチストたる衿持がユルサない。内心にヤルセナイ所のリラクタンスを覚えながらも保健所に協力して出張予防注射に応援し,保健婦の家庭訪問に協力し,渋面ながら伝染病の届出に疲れた筆を走らせる,かくて文句の出ない程度に協力の態度を明示して行く。
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