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小児の散発下痢症における小型球形ウイルスの重要性
林 志直
1
,
片山 佳奈子
1
,
吉田 勲
1
,
加藤 玲
1
,
尾形 和恵
1
1東京都立衛生研究所多摩支所微生物研究科
pp.570-572
発行日 1998年6月1日
Published Date 1998/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903438
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小型球形ウイルスとは
小型球形ウイルス(Small round Structured virus;SRSV)とは,電子顕微鏡観察を行うと表面に突起状の構造を持った直径約30nmの)胃腸炎起因ウイルスの総称である(図).1968年10月に米国オハイオ州の小学校で胃腸炎の集団発生があり,患者糞便から免疫電子顕微鏡法(immune electron microscopy;IEM)により検出されたノーウォークウイルス(Norwalkvirus)が最初の報告例1)である.
SRSVは組織培養系,動物感染実験系が確立されていないため,その性状は不明な点が多かった.しかし,1990年にノーウォークウイルスの遺伝子クローニングが行われ2),SRSVの分類上の位置づけが明確にされた.SRSVは全長約7.7kbの一本鎖(+)RNAウイルスであり,遺伝子末端の一部が重なった3個の読み取り枠(open reading franne;ORF)が存在する.2番目のORF由来である分子量60〜70kDaの主要構造蛋白質を1種類のみ持つことが特徴であり,カリシウイルス科に属する.
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