特集 今日の学校保健
地域からみた学校保健―学校と連携したエイズ啓発事業の取り組みから
梅村 和歌子
1
1豊田市保健所感染症予防課
pp.25-29
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100782
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性に対する価値観の多様化に伴う性感染症の増加や,若年層のHIV感染者・エイズ患者が増加する中で,「生命の尊重」「人権」「自己の確立」を基盤とした健康教育は,学校や地域社会と連携して取り組むべき重要な課題であった.しかしながら,学校と連携したエイズおよび性感染症を含めた思春期教育は,本豊田市においても進んでいるとは言えなかった.
平成9年度,当時の愛知県保健所は,思春期教育の必要性を感じながらも,年間の事業計画の中で1教室,延べ4回の肥満教室等の開催に時間を割いていた.この間,中学校の保健室では,生徒の性体験および性感染症の相談に乗ることが多くなっており,性教育およびエイズ教育の必要性を実感していたが,「指導」の域から「教育」への脱皮ができていなかった.地域(PTA)も思春期教育の必要性を感じながらも,目の前の現象である校内暴力や不登校等にいかに対応するかに力を注いでいた.一方,保健所は,人口動態指標の人工妊娠中絶数や,感染症発生動向調査に基づく性感染症の動向およびエイズ検査から得る若者の生態,ならびに薬事監視で得た生徒のコンドームや妊娠反応薬の購入状況等の情報に接しながら,これらの指標を有効活用していなかった.
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