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はじめに
若年者のHIV/エイズ感染の急増に伴い,関連する各機関での積極的な取り組みが求められている。しかし現場においては他の優先課題に押されて,エイズ予防対策がなかなか事業化されにくいという声も聞く。
品川区保健所では,平成9年度に行った2つの都立高校文化祭への取り組み1)に対する反響が大きかったことからその取り組みの経験を生かし,平成10年度からは,各世代へ年間を通した所内事業・所外活動として計画,実施している。
当初の保健婦間の思いとしては,新たな人員の配置や予算の拡大も望めないなかで,既存の事業に組み入れていきいきとした活動を展開したいと考えていた。そのためには,他職員の協力も得ながら,いかに効率的にコンパクトに運営していくかということが課題であった。そこで課全体での事前の話し合いを密にし,計画づくりの段階から共通理解を深めるとともに,内部向けの目標もシンプルでわかりやすく,浸透しやすいように「参加する人の輪を一回り広げよう,職員も外部も」とした。
また保健婦のねらいとしては,①質の高い保健活動をめざすように目的意識を高くし対象,教育的介入の方法,多様な場面設定をし,実践評価のための調査・研究・分析2)を行う。②健康教育の手法として“メッセージキルト”づくり3,4)をメインとした媒体づくりに創意工夫し,ノーマライゼーションの視点から「いつでも・どこでも・だれにでも呼びかけていく」ことをめざした。
本稿では特に,全国の保健所に共通する健診のなかでの来所者への啓発・エイズ街頭相談キャンペーンについて,世代別意識調査結果(調査期間は平成10年6〜12月)と「メッセージキルト」のカテゴリー分析を通して紹介する。
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