特集 メタボリックシンドローム―現状とその課題
国保ヘルスアップ事業実施の背景とその課題
岡山 明
1
1国立循環器病センター予防検診部
pp.206-209
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100716
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
従来から国民健康保険加入者に対しては種々の保健事業が実施されてきたが,市町村の実施する老人保健事業とのすみ分けは明らかではなかった.老人保健法施行前には保健師を配置し,保健事業を実施してきた国民健康保険担当部局の多くは,保険料の徴収と給付を主な仕事としており,生活習慣病の予防に関する具体的な活動は,市町村保健センターを中心とする健康づくり主幹課が実施してきた.
平成17年度から実施されている国保ヘルスアップ事業では,国民健康保険の本来の趣旨にそって,保険者の被保険者に対する健康増進サービスを推進する目的で実施されている.また,手法も個人ごとのリスクや生活背景に応じた支援を実施することに重点が置かれ,健康診査はその活用手段の1つとして位置づけられている(個別健康支援プログラム実施マニュアル).その実施根拠となった国保ヘルスアップモデル事業が,平成14年から実施された現在の保険者による保健事業の骨格が決まる前からの事業であり,現在の法律改正に絡む動きとの整合性については,さらに検討を要する点がある.しかし,平成20年度から予定されている保険者の保健事業の先駆けとして,多数の市町村で具体的な活動が行われていることは特筆すべき点である.
本稿では,国保ヘルスアップ事業の実施の背景と,医療保険法改正に関わる課題について述べる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.