特別寄稿
食品のリスクをどう考えるか―BSE対策に見る日米比較
岩﨑 賢一
1
1朝日新聞社社会部医療班
pp.711-716
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100465
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日本と米国の牛肉は,いったいどちらが「安全」なのか.昨年12月23日,米国ワシントン州の乳用種の高齢牛が牛海綿状脳症(BSE)の疑いがあるとベネマン農務長官が発表して約7カ月(2004年7月末時点).日本政府は,米国産牛肉や牛由来の食品などの輸入停止措置を続けている.日米間で4月から専門家と厚生労働省や農林水産省などの実務者による3回の協議を経て,「夏めどの合意を目指す」ための作業が続けられてきた.日本では,食肉処理の実情や科学的考察を差し置いて,政治家,マスコミ,消費者を含め,「検査=(イコール)安全」という考えが非常に強い.
本稿が『公衆衛生』誌に掲載される頃には,米国産牛肉の輸入再開問題は,ある程度の道筋が示されていると思われる.BSE問題をテーマに,日本と米国を比較しながら,何が食品の安全かを考えてみる.
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