東西詞華集
出陣の夫へ—木村重成の妻
長谷川 泉
pp.36-37
発行日 1952年3月10日
Published Date 1952/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200248
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豊臣家の天下の最後,大阪城落城の前夜である。大阪城中の「夫婦雛」とたたえられた木村長門守重成とその妻の水入らずの小酒宴に夜はふけていつた。
英傑豊太閣亡きあと,豊臣の勢威は年と共に衰え,世は徳川の天下に移りつつあつた。慶長19年大阪冬の陣によつて外濠を埋められた大阪城は,既に死命を制せられていたといえる。翌年大阪夏の陣が起つた。そして豊臣家の天下はくつがえつたのである。
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