連載 医師が保健所研修にやってくる―ピンチをチャンスに変える保健所を目指せ!・1【新連載】
保健所実習の意義
川島 ひろ子
1
1石川中央保健福祉センター
pp.490-493
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100111
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新医師臨床研修は保健所にとってピンチ?それともチャンス?―失敗は許されない
昨(2004)年にスタートした新医師臨床研修は,保健所にとってはインターン制度以来2度目の医師研修である.この研修を“負担”と考えている保健所関係者もいるかもしれないが,考えようによっては,保健所の必要性を社会にアピールしたり,保健所自体の機能強化を行う絶好のチャンスである.しかも,もしかしたら最後のチャンスになるかもしれない.スタート5年後には新医師臨床研修のカリキュラムの見直しがあり,保健所実習をした研修医たちがもし「保健所実習は意味がない.不要である」という評価を下したら,保健所は医師養成の実習現場から外されることになる.つまり,保健所の実力が外部からテストされるのである.今度は失敗するわけにいかない.このピンチをチャンスに変えるために,全国の関係者が智恵を出し合って,保健所研修の中身を作る必要がある.絶対に失敗は許されないのである.
地域の保健,医療,福祉のチームリーダーとなれる医師を作るために
今回の新医師臨床研修の目的は,「患者を全人的に診ることのできる医師作り」である.「全人的に患者を診る」ためには,まず「患者は地域で病気をもって生活している」ということを認識する必要がある.そして,地域の中の専門職やシステムを活用して,患者を支えるためのネットワークを構築しなければならない.つまり「地域の保健,医療,福祉のチームリーダーとして連係プレーができる能力」が必要である.そのためには,普段から地域の保健,医療,福祉の中核として動いている保健所で実習するのが,一番の近道である.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.