連載 グローバリゼーションと健康・6
グローバリゼーションと結核
島尾 忠男
1
1(財)エイズ予防財団
pp.480-484
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100109
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人,物,情報などが国境という障壁なしに全世界に広がることをグローバリゼーションと言うなら,感染症はすでに最も早く,強く,グローバリゼーションが起こってしまっている領域と言えよう.急性感染症の中には,1918年に起こったインフルエンザの大流行のように,今ほど交通手段が発達しておらず,人の動きもはるかに少ない時代に,短期間に全世界に広がった例があり,交通手段が飛躍的に発達し,人の動きも増えた現在では,感染症対策は全世界的な課題として取り組む必要がある.
慢性感染症は,急性疾患に比べれば広がる速度は遅いが,エイズの例に見るように,流行が始まってわずか20数年で全世界に広がっており,慢性感染症だからといって安心できない.結核は恐らく最も古い時代から人類と共にあった疾患と思われるが,その流行と対応を全世界的な規模で考えねばならない典型的な再興感染症であり,本稿では結核問題について,グローバリゼーションの立場から検討してみたい.
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