連載 グローバリゼーションと健康・10
グローバリゼーションと食
丸井 英二
1
1順天堂大学医学部公衆衛生学
pp.821-824
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100169
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問題のありか
食べることは,あらゆる人間にとって避けることのできない日々の営為である.いかなる高邁な哲学も,政治も経済も,食べることを前提としている.まさしく「腹が減っては戦はできぬ」なのである.その意味だけからでも,食の問題は世界の人々すべてに共通するグローバルな問題である.
食の問題はさまざまな側面をもっている.個人が生物として生存するための最低基礎条件であるとともに,グルメに代表されるような付加価値としての文化的意味づけがなされている.きわめて広いスペクトラムの中で語られなければならないテーマである.さらに,モノとしての食料は農業や漁業を基盤として,健康が自然環境とかかわるもっとも基本的な経路であるはずである.にもかかわらず,先進国を中心とした大規模な近代工業化によって,おびただしい種類と量の加工食品が世界的に流通していることも,別の側面として忘れてはならない.
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