連載 グローバリゼーションと健康・8
リプロダクティブヘルスとグローバリゼーション―ブラジルとアメリカから
三砂 ちづる
1
1津田塾大学学芸部国際関係学科
pp.657-660
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100129
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ブラジルと妊娠中絶
ブラジルでは,妊娠中絶はご法度である.女性の生命に危険が及ぶとき,あるいはレイプのケース以外では,合法的な妊娠中絶は禁じられている.
妊娠中絶は,合法であろうとなかろうと,宗教的に問題が提起されようとされていまいと,文化的に受け入れられていようといまいと…これらすべてにかかわらず,多くの女性が人生において直面しなければならない「現実」である.いくら子どもが好きでも,いくら赤ちゃんを産みたいと思っていても,いくら相手の男を心から愛していても,女性が妊娠中絶を選ばなければならないことがあるという現実は,どのような国にも存在する.政府が禁止すれば,女性は危険であると知りながら,あらゆる手段を講じて妊娠中絶をしようとする.だからこそ,世界の妊産婦死亡の大きな原因のひとつが妊娠中絶であり,「妊娠中絶の違法化は,妊娠中絶を減らさない,危険にするだけである」と言われているのである1).
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