特集 市販薬オーバードーズ 自力での苦痛緩和と見えにくいSOSに私たちはどう応えるか
医療機関はセーフティネットになりにくい?—私たちは、どうあれるのか
松谷 典洋
1
1亀田医療大学 看護学部
pp.104-107
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134327610280020104
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依存症患者と出会う時に思うこと
想像してほしいのです。太平洋のど真ん中で孤立無援、どこに向かって助けを呼んでよいのかもわからず、どうにもならず、今にも溺れて命が尽きるかもしれないという絶望感の真っただ中で、突如「これにつかまると犯罪です」とか「つかまると残りの人生が台無しになります」などと書かれた浮き輪が目の前を通過していくという場面を——。そんなものには絶対にしがみつかない、と言う人がいたら、その人だけが依存症患者さんのことを「意志が弱い」と言ってよいと私は思っています。
ちなみに私はすぐにそれにしがみついて、とりあえず今を生きることにすると思います。その後のことはその時考えればよいと思うでしょうし、今これにしがみついたって誰にも迷惑をかけないんだから、と考えるかもしれません。

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