徹底分析シリーズ ファシアの科学—痛みの治療と手術における新たな視座
ファシアハイドロリリースの確立と慢性痛治療への展望—日本発の革新的治療手技の発展と臨床応用
木村 裕明
1
,
小林 只
2,3
,
小幡 英章
4
Hiroaki KIMURA
1
,
Tadashi KOBAYASHI
2,3
,
Hideaki OBATA
4
1医療法人Fascia研究会 木村ペインクリニック
2弘前大学医学研究科 総合地域医療推進学講座
3金沢大学医薬保健研究域医学系 機能解剖学分野
4埼玉医科大学総合医療センター 麻酔科
pp.220-228
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360330030220
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近年,慢性痛の根源的要因として,筋膜myofasciaを含む結合組織のネットワークであるファシアが注目されている1)。このファシアを治療対象とするエコーガイド下ファシアハイドロリリースultrasound-guided fascia hydrorelease(FHR)は,日本で開発された革新的な治療手技であり,近年,その適応範囲が急速に拡大している。FHRは,超音波診断装置(エコー)を用いて異常なファシアを可視化し,生理食塩水などを注入することで組織の機能回復を図る低侵襲治療である。従来の疼痛治療が,神経,関節,筋肉といった個別の組織に焦点を当ててきたのに対し,FHRは全身に連続するファシアの機能不全こそが,慢性痛の発症・持続機序における重要な要因であるという新しいパラダイムを提示する。
本稿では,FHRの確立に至る歴史的経緯,その技術的特徴,類似手技との明確な相違点を概説する。さらに,痛覚変調性疼痛を含む複雑な慢性痛に対するFHRの臨床応用と将来的な展望について論じる。

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