徹底分析シリーズ ファシアの科学—痛みの治療と手術における新たな視座
発痛源としてのファシア—その構造特性と治療介入の理論的背景
小林 只
1,2
,
今北 英高
3
Tadashi KOBAYASHI
1,2
,
Hidetaka IMAGITA
3
1弘前大学医学研究科 総合地域医療推進学講座
2金沢大学医薬保健研究域医学系 機能解剖学分野
3埼玉県立大学保健医療福祉学部 理学療法学科
pp.212-218
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360330030212
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西洋医学において,ファシアは長らく解剖実習で臓器や神経,血管を剖出するために取り除かれる「余分な結合組織」として扱われてきた。しかし近年,このファシアこそが全身のネットワークを形成し,運動器疾患のみならず,内科領域や原因不明とされてきた多くの疼痛疾患に関与していることが明らかになってきた。かつてはプラセボと扱われることもあった生理食塩液を用いた「ハイドロリリース」が,画像診断技術の進歩とともに確固たる治療手技として確立されつつあり1,2),鍼や漢方などの東洋医学による疼痛治療が注目される今,われわれは東西医学を包括的に理解するための解剖学・生理学を再考すべき時期に来ている。
本稿では,本特集の総論として,ファシアという構造物の定義,解剖生理,発痛メカニズム,そして「癒着の重症度分類(Grade分類)」にもとづいた多職種連携による治療戦略についても紹介する。

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