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特集 運動療法
Ⅰ.総論
運動療法の発展とその展望
Development and Review of Therapeutic Exercise
松村 秩
1
Satoshi MATSUMURA
1
1東京都養育院附属病院リハビリテーション部
pp.906-920
発行日 1976年12月15日
Published Date 1976/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101352
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はじめに
運動療法はTherapeutic exerciseのことであるが,exという接頭語は解放する(out)を意味し,ercはarcre,すなわちto lock(動かなくなる)に由来する1).このようにexerciseはunlock(解放する,動くように自由にする)という意味があり,したがって動くために手足を自由にすることである.ascesisというギリシャ語は心と身体を鍛練することであり,athlon(ギリシャ語)は身体だけを鍛えた男に与える賞を意味しており,athleteという言葉の語源でもある.Gymnosはギリシャ語の裸体を意味しており裸でおこなう競技のことをGymnastisと言っている.
健康を維持していくために運動が有効だという考え方は古代ギリシャ時代からあり,衛生,保健のための運動の重要性は一般に知られていた.
人間固有の運動についての研究もギリシャ・ローマ時代におこなわれており,その業積も残されている1).
筋の随意収縮によっておこなわれる運動,競技,体操,仕事はいずれも人間だけがおこなう極めて人間固有なものである.このような人間固有の運動がたんに健康増進,保健のみでなく,病気,外傷の回復や,運動障害の治療手技として使われるようになった歴史的過程と現代の医学的リハビリテーションにおける最も重要な手技として発展してきた経緯をたどってみたいと思う.
最後に運動療法における将来の発展についてファシリテーション・テクニックを中心にしてその始発がどのようにしておこり,また今後どのように発展していくかについて少しくその展望についても述べてみることにする.
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