徹底分析シリーズ —誤嚥とご縁にならないために—誤嚥ゼロへの挑戦
巻頭言
隈元 泰輔
1
1済生会熊本病院 麻酔科
pp.689
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320070689
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- 文献概要
誤嚥は,平穏な手術を一瞬にして修羅場に変え,“Goend=危険な結末”に導く魔物である。周術期の誤嚥は重篤な呼吸器合併症を引き起こし,患者の予後に深刻な影響を及ぼす可能性があることから,麻酔科医にとっては是非とも避けたい“ご縁”の代表格である。術前絶飲食ガイドラインの厳守,麻酔薬やデバイスの進歩により誤嚥の頻度は減少していると考えられるが,それでも誤嚥の発生をゼロにすることは困難である。麻酔科医には,誤嚥の危険因子を把握し,その危険性がある患者に対しては適切な予防策を講じるとともに,万が一発生した際は迅速かつ的確に対応する力が求められる。
今月の徹底分析シリーズでは,夜間の緊急手術を一人で担当するようになった若手麻酔科医に向けて,嚥下や誤嚥に関する知識を体系的に整理した。備えあれば憂いなし。リスクを見抜き,予防策を講じ,いざというときに冷静に対応する力は,知識と経験によって身につけることができる。「誤嚥ゼロ」という理想に一歩でも近づくために,まずは知り,そして備えることから始めよう。
本特集が,あなたと誤嚥との不幸な“ご縁”を断ち切るお守りとなることを願っている。誤嚥が起きませんようにと“五円”のお賽銭を投げるよりも,LiSAを読んだほうが,よほど御利益がありますよ!
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