症例ライブラリー 腰背部痛のレッドフラッグを見逃すな
まとめ:レッドフラッグを見逃さないために
若泉 謙太
1,2
Kenta WAKAIZUMI
1,2
1慶應義塾大学医学部 麻酔学教室
2慶應義塾大学病院 痛み診療センター
pp.678-679
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320070678
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今回は,腰背部痛診療で見逃せないレッドフラッグについて特集した。疼痛診療全般において重要なことは,見逃してはならないレッドフラッグの裏にある疾患の中には神経ブロック療法が禁忌になる場合がある,ということである。特に慢性痛の治療中に急性の痛みが生じた場合は,これまでの診断と治療を見直し,初診患者と同様に評価と診断をやり直す必要がある。患者自身もそれまでの痛みと明確な区別がついていないことがあり,訴えを鵜呑みにしていると適切な対応ができない場合がある。例えば,併存疾患が多く日常生活動作(ADL)が低い高齢患者の場合では,骨折が見過ごされている場合がある。筆者も,ペインクリニックで定期的な神経ブロックや漫然とした鎮痛薬の処方で経過観察されてきた,上腕骨骨折や大腿骨頸部骨折を診断した経験がある。
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