症例ライブラリー 外科医からのリクエストにTEEで応える
非心臓手術にて「急変の原因はなんですか?」と聞かれたら
佐島 威行
1
Takeyuki SAJIMA
1
1帝京大学医学部 麻酔科学講座
キーワード:
非心臓手術
,
経胃左室短軸像
,
下行大動脈長軸像
,
中部食道大動脈弁長軸像
,
IABP
,
IMPELLA
Keyword:
非心臓手術
,
経胃左室短軸像
,
下行大動脈長軸像
,
中部食道大動脈弁長軸像
,
IABP
,
IMPELLA
pp.464-468
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320050464
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■症例
55歳の男性。身長170cm,体重105kg。仕事中に高所から転落した。同日に緊急搬送され,大腿骨骨幹部開放骨折の診断でデブリドマン+創外固定が行われた。創部状態が落ち着いたため,術後3日で下腿の観血的整復固定が予定された。喫煙歴は30年以上と長く,既往に未治療の糖尿病,高血圧,脂質異常症を認めていた。
全身麻酔と大腿神経ブロック+坐骨神経ブロックが計画された。全身麻酔はプロポフォール150mg,フェンタニル100μg,ロクロニウム70mgを投与し,気管挿管を行った。挿管後,超音波ガイド下に0.3%ロピバカイン20mLずつで大腿神経ブロックと坐骨神経ブロックを行った。術中はデスフルラン5%とレミフェンタニル0.05〜0.1μg/kg/minで維持を行った。大腿骨近位側へ髄内釘を挿入したところ,突然マンシェットによる非観血的血圧(NIBP)の計測が不可能となり,頸動脈の触知も微弱となった。エフェドリン,フェニレフリンなどを投与したが反応せず,観血的動脈圧の計測に加え,病態の鑑別のために経食道心エコー検査(TEE)を行った。外科医からは「この血圧低下の原因はなんですか?」と聞かれた。
さて,あなたならどうする?

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