症例ライブラリー 外科医からのリクエストにTEEで応える
MICS-MVPにて「左心耳血栓どうですか?」と聞かれたら
富野 美紀子
1
Mikiko TOMINO
1
1東京医科大学八王子医療センター 麻酔科
キーワード:
左心耳血栓
,
中部食道長軸像
,
僧帽弁逆流
,
カラードプラ
,
再形成術
Keyword:
左心耳血栓
,
中部食道長軸像
,
僧帽弁逆流
,
カラードプラ
,
再形成術
pp.458-462
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320050458
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■症例
70歳の男性。身長160cm,体重50kg。3か月前から動悸と労作時息切れを自覚していた。併存疾患に高血圧があり内服加療中である。心電図では心房細動を認めた。経胸壁心エコー検査(TTE)にて僧帽弁後尖(P2)の逸脱による僧帽弁逆流を認めた。逆流量は69mL,有効逆流弁口面積(EROA)は0.68cm2であり,重症僧帽弁閉鎖不全症(MR)と診断された。ほかの弁膜症は認めず,左房径は61mmで拡大しており,左室駆出率(LVEF)は42%と低下していた。さらに,経食道心エコー検査(TEE)を行ったところ,左心耳内にもやもやエコーを認めたが,血栓は確認されなかった。MRに対して低侵襲僧帽弁形成術(MICS-MVP)が計画された。
麻酔導入にはミダゾラム,フェンタニル,ロクロニウムを使用し,分離肺換気用のダブルルーメンチューブを気管挿管した。挿管後,気管支鏡でチューブの位置を確認し,セボフルランとレミフェンタニルの持続投与で麻酔を維持した。
TEEプローブを挿入し,僧帽弁後尖の逸脱を確認していたところ,外科医から「左心耳血栓はどう?」と聞かれた。
さて,あなたならどうする?

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