まとめ：BCPとは試験対策である??

災害対策は試験対策に例えられる

BCPとは，business continuity planningの略であり，事業継続計画または業務継続計画と日本語に訳される。businessという一語が入るため，医療とは関係が薄いと思われがちだが，医療におけるBCPを一言で表すとすれば，それは試験対策だ（ビジネスでは違うかもしれない）。出題範囲は地震，火災，台風，大雨，大規模交通事故など大変広い。CBRNE災害^＊1も含まれる。試験対策は短時間でより多くの正答を導くことが目的だが，BCPは災害が生じた際に，少しでも多くの人を救命する・治療する・ケアすることが目的だ。

　試験対策として，過去問を解いて出題傾向に合わせた対策を講じ，模擬試験を受けるように，われわれは過去の災害から多くのことを学び，BCPを策定し，そのBCPに抜けがないか，正しい方向の対策かを確かめるために災害訓練やシミュレーションを実施する。そして答え合わせを行い次に備える，すなわちBCPを改定する。この一連の流れをbusiness continuity management（BCM，業務継続マネジメント）と呼ぶ。試験科目ごとの勉強をするように，災害でも個々の災害ごとの対策，例えば「地震」「術野火災」それぞれの初動を示したマニュアルは必須である。試験対策に終わりがないように，災害対策にも終わりはない。