作業療法ジャーナル 第60巻記念企画
身体障害領域の作業療法のこの10年
髙島 千敬
1
Kazunori Takashima
1
1広島都市学園大学
pp.380-384
発行日 2026年4月15日
Published Date 2026/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540600040380
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はじめに
わが国の高齢化率は,2000年(平成12年)に17%を超え,2024年(令和6年)10月1日現在では29.3%に達している.一方で,15〜64歳人口は1995年(平成7年)を境に減少へ転じ,2024年には7,373万人,総人口の59.6%にまで縮小している1).
さらに,総人口も2008年(平成20年)をピークに減少に転じており,現在の急速な高齢化は,高齢者数の増加のみならず,少子化による生産年齢人口の減少が複合的に影響した結果といえる.
このような人口構造の変化に伴い疾病構造も変化し,65歳以上人口に占める「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の割合は,2015年(平成27年)には10.2%(345万人)であったが,2022年(令和4年)には12.3%(443万2,000人)に至る2).
厚生労働省「患者調査(傷病分類編)」の年次推移3)では,骨折や心不全は増加する一方,脳血管疾患や肺炎は減少傾向であり,悪性新生物は高い値を維持する傾向を示しており,疾病構造は単純な増減ではなく質的な変化を伴っている.悪性新生物は依然として患者数が多く,身体障害領域の対象者の生活機能に大きな影響を及ぼす主要疾患である.
加えて,世帯主が65歳以上の単独世帯や同年代の夫婦のみ世帯の全世帯に占める割合も25.7%に増加している.在宅復帰支援に向けては,自宅での役割復帰を含めた生活行為向上の視点が重要性を増している.
本稿では身体障害領域の作業療法の近年10年間について,対象疾患の変化と制度・政策の動向を整理し,臨床実践の枠組みの変化も含めて解説する.

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