作業療法ジャーナル 第60巻記念企画
コラム:精神科医からみた作業療法のこの10年
長野 敏宏
1
1御荘診療所 精神科
pp.181
発行日 2026年2月15日
Published Date 2026/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540600020181
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筆者はこの30年,同じ町で,精神科医として診療や関連する活動を続けてきた.当初は統合失調症や感情障害を中心としたかかわりであったが,まず認知症で飛躍的に地域での役割が拡大した.さらに,町づくりや就労関連の活動から,多彩な地域住民や薬物療法等を必要としない知的障害のある方とも密にかかわるようになってきた.教育現場では摂食障害や発達障害,境界域の知的障害のある方々,地域保健や困窮者支援においては明確な精神科的診断がつけられない方々,産業保健においては適応障害のある方々等,いわゆる精神病圏からメンタルヘルスのかかわりへ,必要とされる機能が刻々と拡大,変化してきた.
もちろん,地域包括ケアシステムの中でも精神科医療は欠かせない.また,役割を求められる場も大幅に増加した.介護保険法,発達障害者支援法,障害者総合支援法,自殺対策基本法,生活困窮者自立支援法,依存症対策基本法,児童福祉法や労働安全衛生法の改正等で,多くの社会資源・場が整備されてきた.認知症基本法,拘禁刑の創設,さらには高次脳機能障害者支援法と次のステップもみえてきている.客観的ではないかもしれないが,多様多彩な立ち位置から,これまでとは異なるアプローチの経験を重ねることで,原点ともいえる統合失調症や感情障害へのかかわりも深化しているように感じている.
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