特集 ICFと作業療法
コラム:介助犬訓練における作業療法のかかわり
徳備 夏子
1
1東京福祉専門学校
pp.1209-1211
発行日 2020年10月15日
Published Date 2020/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202283
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はじめに
介助犬をはじめ盲導犬・聴導犬は,「身体障害者補助犬法」(以下,補助犬法)で,病院やデパート,市役所等の公共施設,電車やバス,飛行機,タクシー等の公共交通機関への同伴が認められている1).介助犬の訓練は,この補助犬法では,訓練に携わる者(以下,訓練士)のみではなく,さまざまな医療・福祉の専門職が協力し合い,使用者となる方の障害特性に応じて行うことが求められている.OTは,協力体制を築く専門職の一つに定められている2).
OTの役割について,高柳2)は介助犬の使用者となる方の「①日常生活動作(以下,ADL),手段的日常生活動作(以下,IADL),作業姿勢・能力等の評価,②生活動作や作業上の制限,禁忌,注意点等がある場合,環境整備,③自助具の工夫を行い継続的に関わること」を挙げている.高柳2)は医師の立場から,「作業療法学的な研究の重要性の適応や作業内容は,無限に発展を遂げる」と述べている.また,原3)は,OTとして,介助犬とその使用者となる障害者との合同訓練にかかわった経験から,「心身機能,構造,活動,参加,社会資源の選択・環境設定の評価や介入に対応できる」と指摘している.筆者4)は使用者へのインタビューを通じ,自助具の調整・作製や作業姿勢の評価,使用者の職場や家族の理解,OTがかかわることの重要性を指摘した.他にも,介助犬を適切に管理するための機器の開発や飼育管理動作にOTがかかわり,生き物を生活に取り入れることの心理的効果に触れた事例報告5,6)があり,合同訓練での専門職同士のかかわりは重要といえる.
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