Japanese
English
特集 身近な臨床に潜む依存症という病とそのアプローチ
身体科リハビリテーションにおける飲酒問題に焦点を当てた作業療法
Occupational therapy focusing on alcohol-related issues in physical rehabilitation
幸地 睦子
1
Mutsuko Kochi
1
1沖縄リハビリテーションセンター病院
pp.1187-1190
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590111187
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Key Questions
Q1:地域文化は住民の飲酒行動にどう影響するか?
Q2:身体科リハビリテーションで飲酒問題にどのように支援できるか?
Q3:ブリーフ・インターベンションを作業療法で活用するには?
はじめに
身体疾患の治療において,アルコール関連問題が患者の生活や治療過程に影響を及ぼすことは少なくない.飲酒問題を抱える人々は身体的な合併症を契機に医療とつながることも多く,身体科領域で作業療法士がかかわる機会も増えている.「アルコール健康障害対策基本法」の第2期基本計画では,“アルコール健康障害の早期発見・介入のため,一般の医療従事者(内科,救急等)向けの研修プログラムの普及”1)が基本施策として掲げられており,「一般医療での早期発見・介入」は今後ますます求められる状況にある.また,飲酒が文化的に寛容な地域では,地域行事や人間関係と深く結び付く一方で,アルコールに起因する健康リスクの増加が指摘され,減酒支援の試みも報告2)されている.
筆者は長年,精神科領域に従事してきたが,2018年(平成30年)に総合病院の身体科病棟で勤務する機会を得た.前任地で依存症デイケアの運営に携わった経験から,身体科領域においても飲酒問題を抱える患者への支援を模索した.
本稿では,沖縄県宮古圏域の地域文化が飲酒問題に与える影響と,身体科リハビリテーションにおいて筆者が実践した作業療法の試みを紹介する.またアルコール健康障害への介入方法である簡易介入(brief intervention:BI)の視点を交え,身体科領域における作業療法士の可能性について考察する.

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