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Key Questions
Q1:他職種にはない作業療法士の専門性とは?
Q2:作業に焦点を当てた実践を展開するに必要な信念形成はどうやって形作るか?
Q3:作業に焦点を当てた実践を行うための知識とは何かを養成校教育で吟味され教授されているか?
他職種に埋もれることなく作業療法士として活躍する
他職種の集まる大学院や研修会等で「作業療法士」という言葉が出ると,他職種から専門性にかかわる質問がなされる.わからないと言われてしまう理由は,作業療法士が自らの専門性を曖昧に答えていたり,実践を通して他職種を混乱させているからであることも多い.他職種からの質問内容は大きく2つあり,1つは,「何の専門家であるか」という質問で,作業療法士が,自分たちとは異なる知識や技術をもつのかどうかや,共に働くことで,異なる視点を提供でき自分たちの職種だけでは解決できない何かを解決できる,より高いレベルの結果を得ることができる専門家であるかどうかを吟味するものである.もう1つは,「何ができるか?」という質問で,作業療法士がどんな専門職であるかの理解よりも,自分たちの職種の代わりがどの程度できるかを知ろうとする質問であったりもする.多職種連携が重要視される中で,他職種の代わりができると重宝がられることも多い.
しかし,恒常的に,もし作業療法士が他の医療職が本来すべきことを代わりに主にし続け(どれだけその技術が高くても),本来作業療法士が専門家としてすべきことをしていなければ,医療職としては働けているのかもしれないが他職種に埋もれている状況であり,作業療法士という専門家として働けていないことを問題視しなければならない.この状況は場合によっては,患者や利用者を騙したり,作業療法士だけでなく他職種の名前を汚すことにもなる状況である.他職種に埋もれることなく,「何の専門家であるか」に誇りをもって答え,他職種に専門性がわかる実践を展開できるようにする教育はとても重要であるのはいうまでもないのだが,この教育は,日本においては,日本作業療法士協会が作業療法と作業の定義を正式に提示した2018年(平成30年)に始まったばかりであるようにも思える.
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