連載 “出かけたい!”をかなえる—その人・その地域に合った移動を支える・第3回
障害福祉分野での運転と地域移動支援の取り組み
吉原 理美
1
Ayami Yoshihara
1
1名古屋市総合リハビリテーションセンター
pp.584-587
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590060584
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はじめに
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」が2012年(平成24年)6月に公布され,翌年4月に施行された.本法律は,“障害者及び障害児が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう,必要な障害福祉サービスに係る給付,地域生活支援事業その他の支援を総合的に行う”ことによって,“障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与する”ことを目的にしている.
障害者総合支援法の訓練等給付の中には,自立した日常生活または社会生活ができるよう,一定期間,身体機能・生活能力の維持・向上のために必要な訓練を行う自立訓練(機能訓練,生活訓練)や,就労のために必要な訓練を行う就労移行支援,就労する機会を提供しながら訓練を行う就労継続支援A型・B型等がある1).このうち機能訓練では作業療法士の配置が明記され,就労系サービスにおいても作業療法士が福祉専門職員配置等加算の対象職種として追加される等,障害福祉領域で作業療法士の活躍は期待されている.しかし,障害者総合支援法の定める事業で働く作業療法士は,健康保険法や介護保険法の定める事業で働く作業療法士に比べて圧倒的に少ない2).そのため障害福祉領域での実践はあまり知られていないのが現状だが,地域生活への移行を図るためのさまざまな取り組みも報告されている3).
本稿では,障害福祉分野,とりわけ自立訓練における運転と地域移動支援の取り組みについて紹介する.

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