連載 薬剤と理学療法・第11回
抗悪性腫瘍薬
湯山 聡
1
,
船木 麻美
1
Satoshi YUYAMA
1
,
Asami FUNAKI
1
1亀田総合病院薬剤部臨床薬剤科
pp.1355-1360
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590111355
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
わが国では,2人に1人が生涯のうちに悪性腫瘍(以下,がん)に罹患し,4〜6人に1人ががんで死亡している1).がんの進行に伴い,日常生活活動に障害を生じ,QOLの著しい低下を招くことから,がん領域でのリハビリテーションの重要性が指摘されている.2016年に成立したがん対策基本法改正法の第17条では,がん患者の療養生活の質の維持向上のため,がん患者の状況に応じた良質なリハビリテーションの提供を確保することが明記され,2023年から開始された第4期がん対策推進基本計画では,がん患者に対する適切なリハビリテーションの提供が取り組むべき施策とされている.
がんの治療には主に,手術療法,放射線療法,化学療法,免疫療法がある.化学療法および免疫療法では,単体または複数の抗悪性腫瘍薬(以下,抗がん剤)を投与することで抗腫瘍効果を発揮するが,一方で多くの患者が抗がん剤によるさまざまな副作用を経験する.副作用は,リハビリテーションの阻害因子となるだけでなく,リハビリテーションを行ううえでの安全管理においても重要である2).本稿では,抗がん剤とその代表的な副作用,リハビリテーションにおける安全管理について,具体的な症例を交えて解説する.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

