連載 薬剤と理学療法・第5回
抗精神病薬
渡部 和幸
1
,
船木 麻美
1
Kazuyuki WATANABE
1
,
Asami FUNAKI
1
1亀田総合病院薬剤部臨床薬剤科
pp.603-607
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590050603
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わが国では精神障害が5大疾病の一つとなり,認知症や精神疾患を有する患者が身体疾患の治療のため入院となることも少なくない1).患者の身体疾患の治療を行うなかで,精神症状の治療がうまくいっていない場合には適切な対応ができず身体疾患の治療が停滞することがある.結果として患者の状態はなかなか改善しない1).精神疾患のなかには,身体疾患の治療を円滑に行うために抗精神病薬をはじめとする薬物治療が重要となる場合がある.
抗精神病薬は主に統合失調症の治療に使用される薬剤であるが,使用用途は幅広く,双極症やうつ病,発達障害,認知症に伴う易刺激性や興奮などに加え,適応外ではあるがせん妄などにも用いられる2).抗精神病薬は大きく第一世代抗精神病薬(または定型抗精神病薬ともいう)と第二世代抗精神病薬(または非定型抗精神病薬ともいう)に分類される(表)2).第二世代抗精神病薬は比較的最近になり発売された薬剤であり,後に説明する錐体外路症状が一般に第一世代抗精神病薬より少ないという特徴をもつため,現在は第二世代抗精神病薬が主に使用されている3).

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