連載 薬剤と理学療法・第6回
骨粗鬆症治療薬
船木 麻美
1
Asami FUNAKI
1
1亀田総合病院薬剤部臨床薬剤科
pp.723-727
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590060723
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骨は,古くなった骨を壊して(骨吸収),新しい骨をつくる(骨形成)サイクルを繰り返して健康な骨を維持している.これを骨のリモデリングという.しかし,骨吸収と骨形成のバランスが崩れて,骨吸収の亢進が骨形成を上回ると,骨密度が低下する1).したがって,骨粗鬆治療薬には,骨吸収を抑制したり,骨形成を促進したりする作用をもつものがある(表1).
また,骨の石灰化にはカルシウムやビタミンDが必要であり,それらが欠乏すると骨密度低下につながる1).カルシウムの99%は骨および歯に存在しており,骨は生体内でカルシウムの供給源としての役割を果たしている2).カルシウム摂取不足などで血中のカルシウムが不足すると,カルシウムを骨から血中に取り出すため,骨吸収が促進されて骨が脆くなってしまう.経口摂取されたカルシウムの小腸での吸収率は25〜30%と低いため2),カルシウムの吸収を促進する働きがあるビタミンD製剤が骨粗鬆症治療薬として広く使用されている.

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