連載 車椅子・歩行補助具の選び方・第1回【新連載】
補装具費支給制度
徳井 亜加根
1,2
Akane TOKUI
1,2
1補装具研究所
2前厚生労働省
キーワード:
障害者総合支援法
,
社会保障
,
社会参加
Keyword:
障害者総合支援法
,
社会保障
,
社会参加
pp.845-847
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590070845
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はじめに
補装具の購入などに要する費用を支給する制度である補装具費支給制度は,障害者総合支援法に基づき,身体障害者手帳を有している障害児者に加え,障害者総合支援法に定める特殊疾病で障害認定基準と同等の身体機能障害を有している児者に対して,補装具の購入などに要する費用を支給するものである.昭和25年10月16日付,社会保障制度審議会「社会保障制度に関する勧告」において,国,都道府県および市町村が行うべき「公助」として,身体障害者に対する補装具の支給が位置づけられており,同時に,「社会保障の中心は,自らそれに必要な経費を負担する社会保険制度としつつ,保険制度のみでは救済し得ない困窮者に対しては,国家が直接扶助し,その最低限度の生活を保障しなければならない」と「共助」が社会保障の原則であることも明記されている.
共助は,医療保険や労災保険のように必要な経費(掛金)を自ら負担するものである一方,補装具費支給制度はその原資をすべて租税で賄う「公助」の社会保障であることから,「最低限度の生活を保障」するためのもの,すなわち,①障害者が日常生活を送るうえで必要な移動などの確保や,就労場面における効率の向上を図ること,②障害児が将来,社会人として独立自活するための素地を育成助長することを目的としている.したがって,補装具費支給制度は利用者のQOLまでを保障するものとはなっていない.

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