Close-up 医療現場に活かすためのコンサルテーション入門
臨床倫理におけるコンサルテーション—理学療法の現場での活用
勝碕 静香
1
,
瀧本 禎之
1
Shizuka KATSUZAKI
1
,
Yoshiyuki TAKIMOTO
1
1東京大学医学部附属病院患者相談・臨床倫理センター
キーワード:
臨床倫理コンサルテーション
,
医療倫理の4原則
,
Jonsenらの4分割表
Keyword:
臨床倫理コンサルテーション
,
医療倫理の4原則
,
Jonsenらの4分割表
pp.594-597
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590050594
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はじめに
医療の現場では,診療方針の決定や患者の意思決定支援などにおいて倫理的なジレンマがしばしば生じる.これは医師や看護師だけでなく,理学療法士などを含む多職種が関与する課題である.例えば,患者の回復の見込みに対する認識の違い,理学療法の継続や中止にかかわる意思決定の困難さ,患者と家族の意向の対立など,複雑な状況のなかでそうした課題に直面することが考えられる.実際の現場では,これらは明確な倫理的課題という形よりも,「なんとなく“モヤモヤ”する」といった感覚で浮かんでくることが多いのではないだろうか.
近年,こうした倫理的問題に対応するために,院内に臨床倫理コンサルテーション(clinical ethics consultation:CEC)に対応する部署やチームを設置する医療機関が増えている1).本稿では,CECの基本的な役割やアプローチの方法について紹介し,理学療法の現場での具体的な活用例を述べる.

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