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はじめに
Proximal junctional kyphosis(PJK)の定義は,Glattesら3)により提唱されたものが一般的に用いられている.これは上位固定端(upper instrumented vertebra:UIV)の下位終板とその2椎体頭側(UIV+2)の上位終板とのなすproximal junctional angle(PJA)が術前より10度以上増加かつ絶対値で10度以上とされている.しかし,この定義は臨床的スペクトラムがきわめて広く,PJKになったとしても実臨床では明らかな症状を伴わないまま経過することが少なくない.特に長範囲固定手術においては後弯化した腰椎-骨盤アライメントを矯正することによって,前弯化していた胸椎が後弯化するといったアライメントの矯正による代償性変化としてのPJKも少なくない13).そのため,2014年にScoliosis Research Society(SRS)のメンバーで行われたアンケート調査では,86.2%の回答者がPJKの定義をPJA 20度以上にしたほうがよいと回答している20).Leeら10)のPJKに関するレビューでは,PJKの発生率は20〜40%と高率に生じるが,その多くは無症候であると記されている.そのため,重要なのはPJKの予防というよりも,実際に臨床症状を伴うようなproximal junctional failure(PJF)の予防である.PJFも実際にはその定義にコンセンサスはないが,もともとはHostinら5)が再手術を要するような上位固定端の構造的破綻と定義していた.しかし,現在では臨床的・構造的破綻を伴う重度のPJKやスクリューのバックアウト,UIVやUIV+1などの骨折,神経障害,上位固定端の問題に関連して生じた再手術などがPJFの定義として主流となっている2,8,23).本稿では,これらPJK・PJFの危険因子,特に最も重篤な合併症としての神経障害(脊髄症や脊髄損傷)とその予防策について検討する.

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