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はじめに:椎体ドミノ骨折とは?
骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fracture:OVF)は,高齢者に最も頻発する脆弱性骨折であり,多くの症例では保存療法によって疼痛の軽減と機能回復が得られる.「骨粗鬆症性椎体骨折診療マニュアル」21)では,骨折後12週以内が治癒過程と定義されており,自然経過の報告でも疼痛は3カ月以内に軽減するのが一般的である1,12).一方で予後不良な症例も一部に認め,それらには早期にballoon kyphoplasty(BKP)を行うという治療戦略が確立されつつある8).また,最初のOVFがまだ治癒過程にある比較的短期間,すなわち発症後3カ月以内に,別の椎体に新たなOVFが連鎖的に発生することがある.このような症例はBKPだけでは解決しないため治療に難渋する5).われわれはこのように短期間に複数のOVFが発生する病態を,椎体ドミノ骨折(ドミノOVF)と提唱してきた15,16,31).
脆弱性骨折後の再骨折は,近年「imminent fracture risk」として注目されており,初回骨折後12〜24カ月以内に再骨折リスクが集中的に高まることが報告されている.特に椎体骨折は最もリスクが高く,75歳以上の女性では1年以内の脆弱性骨折が14%,2年以内が26%である2,3).本邦におけるOVFの観察研究でも,初回OVF後1年以内に6.7〜17.1%で新たなOVFが発生することが示されている11,29).これらの続発椎体骨折という概念は,疫学として重要であるが,臨床的には続発OVFが発生した時点で初回OVFがすでに治癒していることが多い.これに対し,ドミノOVFでは,複数のOVFが治癒していないため治療方針が本質的に異なる(図 1).ドミノOVFに関する報告は依然として限られているものの,本邦では超高齢社化が加速し,臨床現場で遭遇する機会は確実に増加している.しかしながら,外科的治療介入の是非や保存療法の限界,脊柱アライメントへの影響,さらには長期予後との関連については,十分な検討がなされていないのが現状である.以上を踏まえ,われわれが提唱するドミノOVFの概念を整理するとともに,その臨床的意義,病態背景,および治療戦略について概説する.

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